数千万円もの年金を失う恐れも

公的年金制度には、年をとったときの年金だけではなく、遺族年金や、万一病気やケガで身体に障害を負ったときの障害年金という大きな保障があります。1級の障害基礎年金は約97.5万円、2級は約78万円の年金額に、子どもがいれば約22.4円（三人目から約7.4万円）の子の加算額が付きます。

厚生年金に加入している人は、障害厚生年金が上乗せされます（配偶者がいれば1級と2級には約22.4円の配偶者加給年金額が付く）。3級の障害厚生年金には障害基礎年金の支給がないので、約58.5万円の最低保障が設けられています。また、障害厚生年金は、わずか1カ月だけの加入であっても厚生年金に300月（25年）加入したものとして計算されます。
仮に、就職して間もなく3級の障害厚生年金を受け取る状態になったとしたら、50年間の年金総額は2900万円以上にもなります。2級の障害年金では4000万円近いものになります。受け取りは一生涯続くので、下手な生命保険よりずっと充実した給付内容になっています。
このように大きな保障のある障害年金ですが、保険料を滞納していると無年金になるおそれもあるので注意が必要です。

障害年金をもらうための保険料納付要件は、「初診日の前々月までの被保険者期間のうち保険料納付（免除）期間が3分の2以上あること」または、「初診日の前々月までの一年間保険料の滞納がないこと」となっています。
困ったことに、就職して厚生年金に加入したことで学生時代の未納は放っておいても問題ないと思っている人も少なくありません。交通事故や病気などで障害を負うことはそう滅多に無いかもしれませんが、いつ自分に降りかかってくるかは分かりません。
特に、若い方は、「親が払ってくれたかもしれない」「学生だから払わなくてもいいと思った」など、未納かどうかさえ分からない人も多いのです。就職前の学生時代に国民年金保険料の未納があれば、ボーナスが出たら穴埋めすることを検討しておきましょう。