「誰でも入れる保険」について
入るのカンタン、もらうのタイヘン
年齢が高くなるにつれ、病気になったらとか寝たきりになって家族に迷惑をかけたらどうしよう、といった不安が増してくるようです。そんな不安を少しでも和らげてくれるものに保険があります。最近は、シニア層を対象にした様々な保険商品が登場して、毎日のように広告を目にすることが多くなってきました。
シニア向け保険は、「病気があっても無審査で入れます」「誰でも入れます」と、加入者の対象を広げている無選択タイプが特徴になっています。無選択型は、保険会社が入る人を選択しませんよ、と門戸を広げている保険です。病気の有無を問わず誰でも入れるとなると、いろんな心配を抱える高齢者はつい飛びつきたくなってしまうようです。
給付金の支払い基準が厳しい
血圧が高くなり投薬治療を受けている62歳の男性。これからの入院に備えて、病気があっても医師の審査なしで入れるという医療保険に今のうちに入っておこうと考えました。
さて、この男性は入院したときに保険会社から入院や手術の給付金をもらえるのでしょうか。実は、この無選択型の保険には大変厳しい支払い制限が設けられていました。
それは、加入から90日間を不てん補期間とし、この間は病気入院の保障を一切しないというのです。加入して間もなく入院しても、入院給付金はもらえないのです。
また、病気があっても入れるのがこの保険のウリですが、加入前にかかっていた病気で入院した場合には、入院給付金は支払わないとなっています。
つまり、病気があっても入れるけれど、その病気で入院してもお金は一切支払いませんよ、ということです。 保険料は、入院日額5000円で月々9745円。健康体を対象にする一般の医療保険に比べると、保険料は4割くらい割高で支払い基準も厳しい。
こんな保険に入るくらいなら、入ったつもりでお金を貯めていた方がマシかもしれませんね。
リスクの高い高齢者に、そう簡単に保険金を支払うはずがないのです。高齢化が進む中、「何かあったらどうしよう」「家族に迷惑をかけたくない」という高齢者心理に付け込んでこのような保険商品が氾濫しています。シニアの皆さん、保険は「入るのカンタン、もらうのタイヘン」なものです。決して元を取ろうなんて考えないことです。